Dear ウーマン レビュー

1996年放映TBS系連続ドラマ『Dearウーマン』第一話で、東山演じる石丸多聞は息子をひとりで育ているシングルマザーの大竹しのぶ演じる津野響子と出逢います。

すごくロマンチックな出逢いかたです。ここは是非DVDで観てください。

津野は、就職のため息子の存在を隠しています。子どもがいると言ったら採用試験に落ち続けたので、家族を養うために経歴を偽ったのです。それでも身分は契約社員。

多聞だけがそれを知っており、とにかく秘密は守るからとがむしゃらに頑張る一生懸命で一途な年下の正社員が多聞です。実業団でバスケットボール選手だったのが29歳という年齢もあり肩を叩かれ缶詰工場から本社の庶務課配属になったひとなので、要領はすこぶる悪いです(かつてのチームメイトはしっかり根回しして花形の営業部にいます)。

何事にも真剣に取り組む姿勢と、間違えたらすぐに謝る素直さと、困ったひとを放っておけない人の良さと思い切りの良い行動力が取り柄です。あと、子どもの面倒をみるのがうまい、というか慣れてます。母子家庭で育った長男として年の離れた弟・広見(長瀬智也)の世話をしてたので。

響子は夫を亡くしたあとひとりで息子を育てたプライドもあり素直じゃないので、息子の方が先に懐いてます。

響子は、恋愛経験がないため駆け引きなし直球のみの多聞の言動にものすごく揺り動かされてるのが見て取れて本当の本当に魅力的で、私は恋に落ちました。

多聞は最終話で響子の仕事を守るためクビを覚悟で重役会議に乗り込み直談判して、その足で響子にプロポーズして当然断られますが、こんな、こんなかっこいいひといないです。


東山紀之は常に私の憧れですが、中でも理想のヒーローがこの石丸多聞です。今でもこんなひとに、なれるならなりたい。


多聞は北関東営業所(所在地: 群馬県渋川市)に左遷されてもめげません。取り柄は身体が丈夫なことなのでスーツから作業着姿になって肉体労働をこなしてます。そして響子から学んだ知識を活かして女性社員の働く環境を改善していきます。
そんな多聞のところに、クリスマスの夜、アメリカ帰りのなかなか素直になれないキャリアウーマン津野響子が素直に感情のみでやってきて微笑むんです。


当時小学生だった私の認識でも大竹しのぶは大女優です。東山が相手役を務めると聞いた時は本当にびっくりして内容なんて想像もつきませんでしたが、本当に素敵なロマンスを演じてくれて、しかもハッピーエンドなんて初めてて涙が出るほど嬉しかった。


私がFanになって以降の現代劇における東山の役どころは、大抵親がいません。一番大切な伴侶はすでに喪っており、血縁のない子どもたちを育てています。ドラマの中でかなり特殊な形で女性とパートナーシップを築いていくところがすごく素敵なんですが、最後は必ず去っていくんです。いや、去っていくだけならいいんです。文脈のない安直なヘテロENDよりずっといい。


実は死んでたっていうか殺されてました……あのときはあまりのことに3日くらい本当にお通夜でした。


『Dearウーマン』は最高に良質なロマンスコメディです。このときめきは無限大です。キスシーンは翌年放映されたスペシャル含めあります。あるんですが、組み合わせが多聞と響子ではありません(多聞の弟役を演じる当時18歳の長瀬智也の初キスシーンは、おそらくこのドラマでのものだと思います)。

あとに東山が『少年隊夢』高嶋ちさ子ゲスト回で過去に演じたキスシーンについて語ってるんですが、ある明確な基準をもってこのドラマでのものはノーカウントにされています。ていうか脚本決定稿を読ませてください。このとき多聞の相手役がキスしたのは脚本通りなのかアドリブなのか判別できない。
なおこのドラマは日本の民間企業における女性社員へのセクシャルハラスメントを題材にしており、私が本気で女性学を学び始めたきっかけです。