アイドル東山紀之は自分をよく馬や犬に喩えます。
動物占いが流行った頃にはペガサスって自分にぴったりと言い切り同席の植草さんを呆れさせていました。
1990年少年隊春コンサートの『ブギウギ・キャット』は錦織一清がステージでワンコーラスを歌ってからバックバンドと女性コーラスメンバー、CDデビューを間近に控えた忍者を紹介します。次に植草克秀を呼ぶと、応援団のように長い鉢巻をたなびかせたカッちゃんが走って登場。
そして「最後にとびきりイカしたやつを紹介します、メインボーカル東山紀之!」という掛け声で、後方階段上のステージに現れた少年隊の末っ子が肩に抱えた大砲をドカンとぶっ放します。
クールな佇まいのあのヒガシが、当時23歳とはいえ悪ガキ全開の笑顔です。
リーダー錦織はアイドルを完璧に演じる少年隊の総合演出家。ロック歌手としてステージ中央でギターとのセッションもセクシーに魅せて、東山との掛け合いのパートに入るとヒガシのラップに答えず「みんなありがとうー!」とアドリブのファンサービスをします。
その合図により、後ろを向いて前髪を掻き上げたりと錦織を立てていた東山は思いきり、ひとりぽーんと高台に昇りガンガンパフォーマンスを始めます。
錦織も「あっちを見てね」とでも言うように東山のステージを指差します。ラストのバク転バク宙の連続技も少年隊では東山ひとりが担当。
錦織は東山が全力でパフォーマンスするためにマイクスタンドを寄せなきゃいけないし、植草は植草で頭につけた長い鉢巻をきれいに見せながらアクロバットするのは無理があるので(そんな芸当、東山だってそうそうできないと思いますし)。
猫をかぶるという言い回しがありますが、東山は少年隊メンバーでいるときは犬から猫へ変身するのです。
その証拠に手元にある1991年2月10日にプレスされたCD版ミニアルバム「WONDERLAND」に収録されている『ブギヴギ・キャット』の最後でシャム猫みたいに にゃお と可愛らしく鳴いてる声はどう聞いても対外的にはMr.パーフェクトとして王子様的アイドルを忠実に演じている東山紀之そのひとのものなのですから。